北海道や東北などの寒冷地では、真冬に「灯油が凍って出てこない」「ストーブがつかない」というトラブルが起こることがあります。実際のところ、灯油は本当に凍るのでしょうか?
灯油は水のようにカチカチに凍るわけではありませんが、低温で粘度が上がり、流れにくくなる「凍結状態」 になることがあります。この記事では、灯油が凍る温度の目安と、寒さによる凍結を防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。
灯油は何度で凍る?
灯油は水のように明確な「凍結点」がありません。これは、灯油がひとつの物質ではなく、さまざまな炭化水素の混合物だからです。
一般的に、灯油が固まり始めるのは−20℃前後。ただしこの温度でも完全に氷のように固まるわけではなく、濁りが出たり、流れが極端に悪くなったりする 状態になります。
- −5℃〜−10℃:粘度が上がり始め、流れが重くなる
- −15℃〜−20℃:結晶化(パラフィン分が析出)して白く濁る
- −25℃以下:フィルターや配管内で詰まりを起こすリスク
つまり「凍る」というよりは、「動かなくなる」と表現するほうが近い現象です。
灯油が凍結したときに起こるトラブル
気温が急激に下がると、灯油の性質変化がストーブやボイラーの動作不良につながることがあります。
燃焼不良や点火不良
燃料が流れにくくなることで、バーナーまで灯油が届かず、点火しない・途中で消えるなどのトラブルが発生します。
フィルターや配管の詰まり
結晶化したパラフィンがフィルターやノズルに詰まり、燃料の流れを阻害します。これが続くとポンプや配管の故障にもつながります。
給湯器やボイラーの停止
屋外設置の機器では、吸い込み口や配管内部が凍り、センサーが異常を検知して運転が止まるケースがあります。
凍結を防ぐための基本対策
灯油の凍結を防ぐには、「温度を下げすぎない」「結露を防ぐ」「風雪から守る」という3つの観点が重要です。
1. タンクやポリタンクを屋外に放置しない
寒波が続くと屋外のタンクや容器内温度が−20℃を下回ることもあります。可能であれば、風除室や車庫など、外気温より少し高い場所で保管 しましょう。
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2. 直射風・雪を防ぐ
吹き付ける冷気は温度をさらに下げ、凍結を早めます。防雪カバーや簡易屋根を設置してタンクを保護 すると効果的です。
3. 水分の混入を防ぐ
結露で混入した水分は、灯油より早く凍結して配管を詰まらせます。給油口を開けっぱなしにせず、キャップをしっかり閉めることが大切です。
寒冷地でおすすめの防寒工夫
寒冷地では、外気温が−20℃を下回る日も珍しくありません。そんな環境では、以下のような「灯油を守る工夫」が有効です。
屋外タンクに断熱材を巻く
タンクの外側に断熱マットや保温シートを巻くことで、急激な冷却を防げます。
保温ヒーター・ヒーターケーブルを設置
ボイラーやタンクの配管に電熱ヒーターを巻きつけ、一定温度を保つ保温ヒーター を使用する方法もあります。凍結リスクの高い地域では特に効果的です。ただし、適切な製品を選び、正しく施工する必要があるため注意してください。
配管の埋設・二重構造化
寒冷地仕様の住宅では、配管を地中に埋めたり二重配管にして、外気の影響を最小限に抑える構造が採用されています。既存住宅でも、部分的な改修で対応可能です。
灯油が凍結してしまったときの対処法
もし灯油が凍ってしまった場合は、無理に使おうとせず、以下の手順で安全に対応しましょう。
- 機器の電源を切る(点火や再始動は危険)
- 容器・タンクを暖かい場所に移す
- 自然に温度を戻す(ドライヤーや火気で温めない)
- フィルターや配管の詰まりを確認
- 改善しない場合は専門業者へ連絡
無理に火や熱を加えると、引火や容器破損の危険があります。時間をかけて安全に解凍するのが基本です。
冬前の準備で防げる!凍結予防チェックリスト
冬本番を迎える前に、次のポイントを確認しておくと安心です。
- タンクやポリタンクを屋内・風除室に保管している
- 給油口のキャップをしっかり閉めている
- 配管やホースに保温材を巻いている
- 定期的にフィルター清掃を行っている
- 古い灯油を持ち越さず、新しい灯油を使用している
日常的な点検が、トラブルを防ぐ最も確実な方法です。
まとめ
灯油は−20℃前後で流動性を失い、凍結による燃焼不良や機器停止 を引き起こすことがあります。
- 灯油は完全には凍らないが、粘度上昇・結晶化でトラブルが起きる
- 寒冷地では防雪・保温対策が不可欠
- 凍った灯油を無理に使わず、自然解凍と専門業者の点検が安全
正しい保管と防寒対策を行えば、−20℃の寒さでも灯油は安全に使えます。寒冷地の冬を快適に過ごすために、今のうちに設備と環境を見直しておきましょう。

