廃油回収サービスの選び方|処理費用の相場から適正な処分方法まで解説

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廃油回収サービスの選び方|処理費用の相場から適正な処分方法まで解説

廃油の処理は、家庭・事業所を問わず「どこに頼めば安全に処分できるのか?」が非常にわかりにくい分野です。ガソリンスタンドや工場、飲食店だけでなく、灯油を使う一般家庭でも、誤った処分は火災・悪臭・土壌汚染を引き起こす可能性があります。

廃油は法律上「産業廃棄物」に該当する場合も多く、不適切な処分をすると罰則・行政指導が入るケースもあります。

この記事では、廃油の種類ごとの処理方法、廃油回収サービスの選び方、費用相場、安全に処分するための注意点を、専門的な視点からわかりやすく解説します。

廃油とは?まず押さえるべき基本と分類

 廃油回収サービスを選ぶ前に、そもそも「自分が処分したい廃油はどの区分なのか」を把握する必要があります。廃油はすべて同じではなく、種類によって、処理方法・許可が必要な業者・法律の扱いが大きく異なります。

① 機械油(エンジンオイル・作動油など)

自動車整備工場や建設現場、発電機やコンプレッサーなどで使用される油です。使用後の機械油には金属片やスラッジ(油かす)が含まれるため、そのまま排水に流す行為は水質汚濁防止法違反となる可能性があります。

回収された機械油は、焼却処理や燃料化など、再資源化ルートが存在します。ただし、処理には専用施設が必要なため、無許可業者が回収することは法律で禁止されています。違法回収業者に渡した場合、依頼者側にも責任が問われる可能性があるため十分に注意が必要です。

②食用油(家庭用・業務用)

揚げ物の油やフライヤーに残った油などの食用油も廃油に含まれます。酸化が進むと悪臭を放ち、粘度が高くなり、排水へ流すと配管詰まりの原因になります。自治体によっては家庭ごみとして固化剤で処分できる場合もありますが、飲食店や食品工場などで大量に発生する場合は、再生利用(バイオディーゼル燃料化など)を前提とした専門業者回収が一般的です。

「少量だから大丈夫」と油を下水へ流す行為は、 地域全体の下水処理負荷を増やすため、非常に問題視されています。

③灯油・軽油・重油

ストーブに残った灯油、タンク底に残った古い燃料、劣化して分離した油など、この区分は特に危険性が高い油です。揮発性が高く、取り扱いを誤ると火災・爆発のリスクがあります。また、不適切な方法で土壌や排水へ流すと、地下水・土壌汚染へ直結します。

一度土壌汚染が発生すると、浄化工事は数十万〜数百万円に及ぶこともあります。量の大小に関わらず、絶対に自己判断で処分するべきではありません。必ず、消防法・廃棄物処理法に基づいた許可を持つ専門業者に依頼することが必要です。

④工場系廃油(塗料・溶剤・洗浄剤など混合物を含む)

塗料、洗浄液、溶剤などが混ざった工場系廃油は、揮発性有機化合物(VOC)や毒性物質を含むことがあり、人体にも環境にも大きなリスクがあります。この種類は、特別管理産業廃棄物として扱われる場合も多く、専門の設備を持った許可業者以外が扱うことは認められていません。

万が一、不適切処理が発覚すれば、企業としての信用失墜だけでなく、行政罰や刑事責任が問われる可能性があります。

廃油の適正処分に必要な法律とルール

廃油の処分には、家庭ごみのような自由処分は認められていません。処分方法を誤れば、たとえ家庭用であっても環境汚染や火災につながる危険があり、事業者の場合は法律違反となることがあります。

家庭の廃油の扱い

家庭で発生する食用油は、自治体のルールに従って処分します。一般的には、油を市販の固化剤で固めて燃えるごみとして出す方法や、新聞紙・キッチンペーパーに吸わせて処分する方法があります。

最近では、地域のスーパーや自治体が回収ボックスを設置し、バイオ燃料へのリサイクルに活用する取り組みも拡大しています。大量に発生する場合や処理が困難な場合は、回収専門業者への依頼が推奨されます。

事業者の廃油(産業廃棄物)の扱い

飲食店・自動車整備工場・工場などで発生する廃油は、産業廃棄物に分類されます。この場合、処分の委託には「産業廃棄物収集運搬業」および「処分業」の許可を持つ業者への依頼が必須です。

許可のない業者が回収する行為は違法であり、依頼した側にも責任が発生します。委託契約書(マニフェスト)の管理や回収後の処理状況の確認も事業者の義務として定められています。

不法投棄は厳しい罰則の対象

廃油を下水に流したり、野外に捨てたりする行為は不法投棄とみなされ、極めて厳しい罰則があります。廃棄物処理法に基づく罰則は、最大で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は最大3億円)と定められています。「費用が安いから」という理由で無許可業者に依頼すると、処分の責任が依頼者側にも及ぶため非常に危険です。

廃油は、正しい知識と法的ルールに基づいた適切な処理が求められます。トラブルを避けるためにも、必ず許可業者を選び、記録と契約の管理を徹底することが重要です。

廃油回収サービスを選ぶポイント

廃油回収サービスは数多くありますが、「どこに頼んでも同じ」ではありません。質の低い業者に依頼すると追加費用が発生したり、適切に処理されずトラブルになる可能性があります。ここでは、失敗しないための選び方を詳しく説明します。

① 必ず“許可番号”を確認する

廃油を事業として扱うためには、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可が必要です。許可番号は業者のホームページ、見積書、名刺、車両に表示されているのが一般的です。表示がない場合や回答を濁す業者は避けるべきで、依頼者側にも責任が及ぶ可能性があります。

② 廃油の種類に対応しているか確認する

廃油は、機械油・灯油・食用油・化学系混合廃油など種類によって必要な設備や処理方法が異なります。業者によっては「食用油のみ」「灯油・重油対応」「機械油のみ対応」などの制限があるため、必ず対応範囲を確認しましょう。種類を誤ると追加費用や回収不可のトラブルが発生することがあります。

③ 処理証明書(マニフェスト)を発行できるか

事業者が廃油を委託する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理票)が必須です。処理工程と最終処分までの流れを記録するもので、不正処理の防止と責任範囲を明確にする目的があります。マニフェストを発行できない業者は、そもそも依頼対象として不適切です。

④ 料金体系が明確かどうか

一般的には「回収量 × 単価」で計算されますが、

・引き取り手数料
・容器代
・出張費

などが追加される場合があります。見積書の段階で費用項目が明確になっているかどうかは、業者の透明性と信頼性を判断する重要な指標です。

⑤ 回収後の処分方法が透明かどうか

回収した廃油が、再生油としてリサイクルされるのか、焼却処理されるのか、最終処分されるのかを説明できる業者を選びましょう。処理工程を公開しない業者は、無許可処理や不法投棄のリスクがあるため注意が必要です。

廃油回収の費用相場はどれくらい?

廃油回収の費用は、油の種類、量、設置場所、容器の材質、地域によって変動します。
以下は一般的に多いケースの目安です。参考として確認してください。

・機械油(エンジンオイル等)… 約 50〜120円/L
・食用油 … 約 50〜200円/L(大量発生する飲食店では無料回収もあり)
・灯油・重油 … 約 100〜250円/L
・化学系混合廃油(塗料・洗浄剤) … 約 200〜500円/L
※危険物含有時は別途加算

出張費・作業費は3,000〜15,000円ほどが一般的で、業者によっては“最低作業費”の設定があるため少量回収は割高になる傾向があります。

しかし、灯油漏れナビを運営する環境開発工業株式会社では、廃油の処理の仕方は全く異なります。全ての油種に対応しているため、詳しくは以下のボタンからお問い合わせください。

\弊社へのご相談はこちらから/

家庭で発生した廃油の正しい処分方法

家庭の不要な油は量が少ないため、事業用廃油とは別ルートで処分できます。自治体ごとにルールが異なるため、自分の地域の方法を確認することが大切です。

● 食用油

新聞紙や古布に吸わせる/固化剤で固める/自治体の回収BOXへ

● ストーブの残り灯油

回収専門業者へ依頼するのが最も安全(ガソリンスタンドは法律上ほぼ不可)

● 車の廃オイル

整備工場・カー用品店・ガソリンスタンドで回収(有料)

事業所で発生する廃油の適切な処理フロー

事業所で発生する廃油はすべて産業廃棄物として扱われ、法律に基づいた処理が必須です。


① 保管:密閉容器・防油堤を使用し安全な場所で一時保管

② 許可業者へ回収依頼:対応可能な種類を確認

③ 運搬:マニフェスト記入後、許可車両で運搬

④ 処理:再生油化・焼却など

⑤ マニフェスト保管:5年間の保管義務

基本となる処理フローを理解しておきましょう。

廃油回収でよくあるトラブルと防止策

廃油処理は専門性が高いため、業者選びを誤るとトラブルにつながります。実際に起きやすいケースを整理しておきます。

以下に実際に多いケースと防止策をまとめました。

● 許可のない業者に依頼してしまった
必ず許可番号の提示を確認する

● 追加請求が発生した
→ 見積書で「最低作業費・容器代・交通費」の有無を確認

● 悪臭・漏えい事故
→ 劣化したポリタンク保管が原因になることが多い

まとめ|廃油は“適正処理”がすべて。安全な回収業者を選んでトラブルを防ぐ

廃油は種類によって適切な処分方法が異なり、誤った処理は環境汚染・火災・法的リスクに直結します。廃油回収サービスを利用する際は、以下の5点を必ず確認しましょう。

・許可番号の確認
・対応可能な廃油の種類
・明確な料金体系
・処理方法の透明性
・マニフェストの発行可否

判断に迷う場合は、無理に自己処理をせず、専門業者に相談することが最も安全で確実な選択です。