誤って灯油を飲んだ!家庭でできる応急処置とすぐ病院に行くべきサイン

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誤って灯油を飲んだ!家庭でできる応急処置とすぐ病院に行くべきサイン

家庭用の暖房やポータブルストーブなどで多くのご家庭に欠かせない灯油。しかし、その一方で「子どもが灯油を飲んでしまった」「高齢の家族が間違えて口にしてしまった」という事故は、実際に起こっています。

誤って灯油を飲んでしまったときに一番怖いのは、誤った応急処置をしてしまうことです。適切な対応を知らないと、思わぬ症状を悪化させる恐れもあります。

この記事では、誤って灯油を飲んでしまったときに家庭ですぐにできる正しい応急処置と、どのような状態になったらすぐ病院に行くべきかをわかりやすくお伝えします。
いざという時に備えて、ぜひ最後まで読んでおいてください。

灯油の誤飲はなぜ起こる?家庭での注意ポイント

灯油の誤飲は特別な状況だけで起こるわけではありません。日常の中で、誰にでも起こり得る事故です。

子どもが灯油を誤飲してしまう主な理由

幼児は身近なものに興味を持ち、何でも口に入れて確かめようとします。ペットボトルやジュースの容器に移し替えられた灯油は、見た目では飲み物と区別がつかないため、思わぬ誤飲につながることがあります。

高齢者が灯油を飲んでしまう原因

高齢者の場合、視力の低下や認知症などの影響で、ストーブの近くに置いてあった灯油をお茶や水と間違えてしまう事故があります。一人暮らしの場合は特に注意が必要です。

保存容器や保管場所の思わぬ落とし穴

「ちょっとだけだから」と台所に灯油を置きっぱなしにしたり、空きペットボトルに入れて保管したりすると、誤飲事故の危険が高まります。必ず灯油専用の容器を使い、使用後は子どもや高齢者の目に触れない場所に保管しましょう。

灯油を飲んでしまったときに現れる症状

誤って灯油を飲んでしまったとき、体はどのように反応するのでしょうか。

口や喉の違和感・強い刺激

灯油には独特の刺激臭と成分があり、飲んでしまうと口や喉に強い違和感が残ります。

吐き気や嘔吐の症状が出ることがある

灯油を飲むと、体が異物を排出しようとして吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。無理に吐こうとするのは危険です。

咳やむせ込みが続く場合も要注意

灯油を吐いたときに一部が気管に入ってしまうと、咳き込みが続き、場合によっては肺炎を引き起こす可能性があります。

【必読】家庭でできる灯油誤飲の応急処置と絶対NG行為

もし家族が灯油を飲んでしまったとき、慌てて自己判断で行動するのは危険です。正しい応急処置を知っておきましょう。

まずは口の中をきれいにすすぐ

誤飲に気付いたら、慌ててはいけません。まずは口の中に残っている灯油を、少量の水で口をすすいで吐き出しましょう。何度も繰り返す必要はなく、無理に飲み込まないことが大切です。

無理に吐かせるのは絶対にやめる

自己判断で「吐かせれば大丈夫」と考えるのは非常に危険です。吐き戻した際に灯油が気管に入り込み、肺炎を引き起こす恐れが高まります。

大量の水や牛乳を飲ませない

大量の水や牛乳を飲ませると嘔吐を誘発し、同様に気管に入る危険があります。自己判断での水分摂取は避けてください。

飲んだ量や時間を確認し、医師に相談する

誤飲した量、いつ飲んだかを確認し、すぐに医療機関に電話で相談しましょう。指示を受けたら、速やかに病院へ向かいます。

こんな症状が出たらすぐに病院に行くべきサイン

少量の誤飲でも体調が急変する可能性があります。以下の症状が出た場合は、すぐに病院を受診してください。

吐き気や嘔吐が何度も続く

灯油を飲むと体が異物を排除しようとして吐き気を引き起こします。吐き気が何度も続き、嘔吐が止まらない場合は、体力が奪われて脱水症状を起こす危険があります。特に小さなお子さんや高齢の方は、短時間で体力を大きく消耗してしまうため、早めに医師の診察を受けることが重要です。

咳が止まらない・呼吸が苦しい

むせ込みや咳が長引いて止まらない場合は、吐き戻した灯油が誤って気道や肺に入ってしまった可能性があります。気道に灯油が入ると、誤嚥性肺炎などの深刻な症状を引き起こす恐れがあるため、少しでも呼吸のしづらさや違和感を感じたらすぐに医療機関で検査を受けましょう。

胸の痛みや息苦しさがある

胸に痛みや圧迫感、息苦しさがある場合は、灯油が肺まで到達して炎症を起こしているサインかもしれません。この状態を放置すると炎症が悪化し、重篤な肺炎へ進行することもあります。症状が軽いからといって自己判断で様子を見ずに、早めの受診を心がけてください。

意識がもうろうとしている

飲んだ量や体調によっては、意識がはっきりしなくなったり、呼びかけに反応しづらくなることもあります。このような状態は非常に危険です。すぐに救急車を呼び、速やかに病院へ搬送してもらいましょう。

病院へ行くときに伝えるべき情報

受診の際には、医師が適切な処置を行えるように、次の情報をできるだけ正確に整理して伝えることが大切です。

  • 誤飲した時間:何時ごろに飲んだのかを伝えましょう。
  • 誤飲した量:おおよそどれくらい飲んだのか、少しでもわかれば伝えます。
  • 容器の種類:どの容器に入っていた灯油か(ペットボトル、専用タンクなど)。
  • 誤飲後の症状:吐き気、咳、胸の痛みなど、どのような症状が出ているか。
  • 家庭で行った応急処置:口をすすいだ、無理に吐かせたなど、すでに何をしたのか。

これらをメモして持っていくと、医師がすばやく状況を把握でき、必要な検査や治療をスムーズに進めることができます。

灯油の誤飲を防ぐために家庭でできること

事故を未然に防ぐためには、普段の保管方法を見直すことがとても大切です。

子どもの手が届かない場所に必ず保管する

灯油を保管するときは、必ず子どもの手が届かない高い棚や、鍵のかかる物置、倉庫などに置きましょう。大人にとっては「少しの間だから大丈夫」と思っても、子どもは目に入ったものにすぐ興味を持ちます。

特に活発な幼児期の子どもは、踏み台を使って棚に登ることもあります。保管場所は高さだけでなく、子どもが簡単に開けられない場所を選ぶことがポイントです。

ペットボトルやジュースの容器に移し替えない

「少量だから」「一時的にだから」と、使い終わったペットボトルや空き缶に灯油を入れておくのはとても危険です。透明なペットボトルに入った灯油は、見た目が水やジュースとほとんど変わりません。

子どもだけでなく、高齢の家族が飲み物と勘違いしてしまう恐れもあります。必ず灯油専用のポリタンクや、フタがしっかり閉まる専用容器を使用し、「灯油」とわかるラベルを貼るなど、誤認防止の工夫をしてください。

家族全員で保管場所と扱い方を共有する

高齢のご家族がいる場合や、親戚がよく訪れるご家庭では、家族全員が灯油の保管場所と取り扱い方法をきちんと把握しておくことが大切です。とくに認知症を患っている高齢者の場合、飲み物と間違えてしまう可能性が高くなります。

家族内で保管場所を決めたら「ここに置いてあるのは灯油だから、絶対に口にしない」「使い終わったら必ずフタを閉める」などのルールを話し合い、周知徹底しましょう。

まとめ

灯油の誤飲は、家庭のちょっとした油断から誰にでも起こり得る事故です。 「誤って飲んでしまったときに無理に吐かせない」「水や牛乳を無理に飲ませない」など、正しい応急処置を知っておくことで、被害を最小限に抑えられます。

日頃から保管場所を工夫し、容器の管理を徹底することで、家族みんなの安全を守りましょう。もしものときは慌てず、すぐに医療機関に相談することが大切です。