灯油タンクのエアー抜き方法|手順と注意点をプロがわかりやすく解説

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灯油タンクのエアー抜き方法|手順と注意点をプロがわかりやすく解説

「灯油を入れたばかりなのに、ストーブが点火しない……」
「ボイラーから変な音がして、すぐ止まってしまう」

冷え込みが厳しい朝にこうしたトラブルに見舞われると、どうしても焦るものです。故障を疑って修理を依頼する前に、まず確認してほしいのが「配管へのエアー(空気)混入」です。

特に、灯油を完全に使い切ってしまった(ガス欠ならぬ灯油欠)後の給油や、タンクを新しくした直後によく起こる現象です。この状態を「エアー噛み」と呼び、これを解消する作業を「エアー抜き」と言います。

この記事では、プロの視点から灯油タンクのエアー抜き手順と、作業時に絶対守るべき注意点を詳しく解説します。自分で直せるのか、それともプロを呼ぶべきかの判断基準も整理しました。

そもそも、なぜ「エアー抜き」が必要なのか?

石油ストーブやボイラーは、燃料ポンプを使ってタンクから灯油を吸い上げています。この配管の途中に空気が入り込んでしまうと、ストローで飲み物を飲むときに空気が混ざってうまく吸えないのと同じ状態になり、燃料が燃焼部まで届かなくなります。

エアーが混入する主な原因

  • 灯油を完全に使い切った: 配管の末端まで空気が入り込みます。
  • 長期間使用していなかった: わずかな隙間から空気が入り込むことがあります。
  • タンクや配管の交換作業: 設置時に必ず空気が混入します。
  • 配管の緩み・劣化: 接続部から少しずつ空気を吸い込んでしまうケースです。

灯油タンクのエアー抜き:プロが教える5ステップ

一般的な屋外ホームタンクと、屋内の石油ストーブやボイラーを想定した基本手順です。

※注意:機種によって構造が異なります。作業前には必ずお手元の取扱説明書を確認してください。

手順1.タンクの残量を確認する

当たり前のことのようですが、タンクの残量確認は最も重要です。タンクが空の状態でどれだけエアー抜きを試みてもさらに空気を吸い込むだけです。まずはゲージを見て、十分な量の灯油が入っていることを確認してください。

手順2.機器の電源を完全に切る

安全のため、作業前にストーブやボイラーの運転を停止し、電源プラグを抜いておきましょう。

手順3.エアー抜きバルブ(ブリーダー)を探す

多くの機器には、燃料ポンプの近くに「エアー抜きネジ(ブリーダー)」が付いています。

  • ストーブ: 本体の下部や側面、パネルを開けた内部。
  • ボイラー: カバーを開けた内部のポンプ付近。

小さなネジですが、ここが空気の出口になります。

手順4.ネジをゆっくり緩める

周囲を汚さないよう、ウエス(布)や受け皿を用意してください。

  1. ネジを左にゆっくり回して緩めます(完全に外さないよう注意)。
  2. 最初は「シュー」という空気の抜ける音がします。
  3. しばらくすると、気泡混じりの灯油が出てきます。
  4. 気泡がなくなり、灯油だけがスーッと出てきたら素早くネジを締めます。

手順5.試運転を行う

電源を入れ、点火ボタンを押します。1回で点かないこともありますが、2〜3回繰り返して正常に燃焼すれば完了です。

作業中に絶対にやってはいけない「NG行動」と注意点

灯油は立派な「危険物」です。一歩間違えると火災や漏洩事故に繋がるため、以下のポイントは必ず守ってください。

関連記事:知らずに違反?灯油流出で問われる法律と罰則を徹底解説

1. 火気厳禁!

作業中、タバコを吸ったりライターを使ったりするのは厳禁です。灯油そのものはガソリンほど揮発性は高くありませんが、霧状になったり布に染み込んだりすると非常に燃えやすくなります。

2. ネジの締め忘れ・締めすぎ

エアー抜きネジを締め忘れると、そこから灯油が漏れ続け、最悪の場合、床下が灯油まみれになります。逆に、無理な力で締めすぎるとネジ山を潰してしまい、部品交換が必要になるため、「キュッ」と止まる程度の適切な力で締めてください。

3. 無理な分解

「ネジが見当たらないから」といって、配管をバラしたり内部をこじ開けたりするのはやめましょう。パッキンがズレて漏れの原因になるなど、二次被害を招く恐れがあります。

エアー抜きをしても直らないときの、考えられる別の原因

「エアー抜きは完璧なはずなのにやっぱり点かない」という場合、原因は空気以外にあるかもしれません。

疑われる箇所状況と原因
燃料フィルターゴミやサビが詰まって灯油が流れていない
古い灯油前シーズンの劣化した灯油が酸化し、ノズルを詰まらせている
燃料ポンプの故障ポンプ自体が寿命を迎え、吸い上げる力がなくなっている
配管の亀裂目に見えない小さな穴から空気を吸い込み続けている


特に「去年の灯油」を使っている場合は要注意です。灯油の劣化は機械にとって致命的なダメージになることがあります。

専門業者に依頼すべきケースと費用の考え方

以下のような場合は、自分の手には負えないサインです。無理をせずプロに任せましょう。

  • エアー抜きを何度やっても改善しない。
  • 配管の接続部から灯油がじわじわ漏れている。
  • 「E-1」などのエラーコードが消えない。
  • 機械から「ピー」という異音や、焦げ臭いにおいがする。

出張費、技術料に加え、もしフィルター交換や部品代が必要になればその分加算されます。エリアや業者によっても異なりますが、まずは現地で状況を見てもらい、見積もりを取るのが最も安全で確実です。

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ホームタンクやボイラーからの灯油漏れは、放置すれば土壌汚染や近隣への悪臭被害、さらには火災事故へと発展しかねない重大なインシデントです。エアー抜き作業中の締め忘れや、老朽化した配管の放置は、こうした事故の引き金になります。車のオイルランプが点灯したときと同じように、灯油の異常もまた「一刻を争う最終警告」なのです。

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まとめ|エアー抜きは「安全第一」で冷静に

灯油タンクのエアー抜きは、原因がはっきりしていれば自分で行えるメンテナンスの一つです。しかし、火気の管理やネジの確実な開閉など、慎重な作業が求められます。

「自分でやるのは少し不安だな」「やってみたけれど改善しない」というときは、迷わず専門業者を頼ってください。灯油設備は冬の生活を支える大切なインフラです。早めに対処することが、結果的に修理コストを抑え、安全な冬を過ごすための近道となります。