駐車していた車の下に黒い染みがある、エンジンルームから焦げたような臭いがするといった場合は、エンジンオイルが漏れている可能性があります。
エンジンオイル漏れを放置すると、オイル不足によるエンジンの故障や、漏れたオイルが高温部分に付着することによる発煙・火災につながるおそれがあります。また、道路や駐車場へ流れたオイルは、車や人の移動によって広がり、排水設備や土壌などへ影響を及ぼす可能性も否めません。
エンジンオイル漏れが起きたときは、車両を修理するだけでは十分とは限りません。漏れた油の拡散を防ぎ、回収に使用した吸着材や、油が染み込んだ土砂なども含めて適切に処理することが重要です。
この記事では、エンジンオイル漏れに気づいたときの初動対応、自走を避けるべき状態、主な原因、地面へ漏れた油の処理方法を解説します。工場や倉庫、運送事業所などで油漏れが発生した場合の対応も紹介するので、事業者の方もぜひお読みください。
【この記事で解決できること】
- エンジンオイル漏れの主な原因がわかる
- 漏れに気づいたときの初動対応がわかる
- 自走を避けるべき状態がわかる
- 地面に漏れた油の処理方法がわかる
- 専門業者へ相談すべきケースがわかる
エンジンオイル漏れに気づいたら最初に確認すること
エンジンオイル漏れが疑われる場合は、車を動かす前に警告灯や煙、臭い、漏れ方を確認します。
ただし状況によってはエンジンをかけること自体が危険なため、無理に走行しないでください。
| 状況 | 取るべき行動 |
|---|---|
| 油圧警告灯が点灯している | 安全な場所で停止し、エンジンを切る |
| 白煙や焦げた臭いがする | エンジンを止め、自走せずロードサービスへ連絡する |
| オイルが継続的に滴っている | 車両を動かさず、漏れている範囲を確認する |
| 駐車するたびに新しい油染みができる | 早めに整備工場で点検を受ける |
| 地面に油が広がっている | 人や車が踏まないよう周囲を区切る |
| 排水口や土へ流れそうになっている | 水で流さず、吸着材などで拡散を防ぐ |
| 工場や事業所内で発生した | 車両を停止し、発生場所への立ち入りを制限する |
エンジンオイルの量が残っている場合でも、漏れている箇所や、走行中に漏れがどの程度増えるかを目視だけで判断することは困難です。
自走できるか迷う場合はエンジンをかけず、整備工場やロードサービスへ状況を伝えて判断を仰ぎましょう。
車の下の液体がエンジンオイルか確認する
車の下に液体が落ちていても、すべてがエンジンオイルとは限りません。エアコンから出た水や、冷却水、トランスミッションフルードなどの可能性もあります。
エンジンオイルには、一般的に次のような特徴があります。
- 茶色または黒っぽい
- 水よりも粘り気がある
- 油特有の臭いがする
- 車体前方のエンジン下付近に染みがある
ただし、液体の色や落ちている位置だけで、種類や漏洩箇所を断定することはできません。正確な原因は、自動車整備工場やディーラーで点検を受けて確認してください。
油圧警告灯が点灯していないか確認する
メーターパネルに油圧警告灯が点灯している場合は、エンジン内部へ十分なオイルが循環していない可能性があります。
そのまま走行すると、エンジン内部の部品が十分に潤滑されず、重大な故障につながるおそれがあります。安全に停止できる場所へ移動し、速やかにエンジンを切ってください。
警告灯が消えない場合は、再び走行せず、ロードサービスや整備工場へ連絡しましょう。
煙や焦げた臭いがないか確認する
漏れたエンジンオイルが、排気系などの高温になる部分へ付着すると、白煙や焦げたような臭いが発生することがあります。
煙や強い異臭がある場合は、ボンネットを開けて詳しく確認しようとせず、エンジンを停止して車両から離れてください。
火が見える場合や、火災のおそれがある場合は、直ちに消防へ連絡します。
エンジンオイル漏れは走行してもよい?
エンジンオイルが漏れていても、車がすぐに動かなくなるとは限りません。そのため、「少しくらいなら走れるだろう」と判断しやすいトラブルです。
しかし、停車中はわずかなにじみに見えても、エンジンを動かしたときの圧力や振動によって漏れが増えることがあります。
オイル漏れに気づいた時点で、原則として早めに点検を受けてください。
自走を避けるべき状態
次のいずれかに当てはまる場合は、自走を避け、ロードサービスやレッカーを利用しましょう。
- 油圧警告灯が点灯している
- オイルが継続的に滴っている
- 地面に油が広くたまっている
- エンジンルームから煙が出ている
- 焦げた臭いがする
- エンジンから異音がする
- オイル量が明らかに減っている
- 漏洩箇所が分からない
- 走行中に急に症状が悪化した
- タイヤやブレーキ周辺まで油が付着している
オイルを補充しても、漏れそのものは止まりません。補充によって一時的にオイル量が戻ったとしても、走行を続ければ再び減少します。
「整備工場まで近いから」と自己判断で走行せず、まず電話などで状況を伝えてください。
にじみ程度でも放置しない
部品の表面が油で湿っているものの、地面には落ちていない状態は、一般に「オイルにじみ」と呼ばれます。
滴下している状態より緊急性が低いことはありますが、放置してよいとは限りません。パッキンやシールの劣化が進むと、にじみから継続的な漏れへ変化する可能性があります。
染みの大きさだけで判断せず、駐車するたびに新しい染みができる場合や、オイル量が減っている場合は、早めに点検を受けましょう。
エンジンオイルが漏れる主な原因

エンジンオイル漏れは、部品の経年劣化や、オイル交換時の不具合、車体下部の損傷などによって発生します。
ここでは代表的な原因を紹介します。
ガスケットやパッキンの劣化
エンジンを構成する部品の接合部には、オイルが漏れないようにガスケットやパッキンが使用されています。
これらの部品は、エンジンの熱や振動、経年変化によって硬化したり、ひび割れたりすることがあります。密閉性が低下すると、接合部からオイルがにじみ出ます。
オイルパンの破損
オイルパンは、エンジン下部でエンジンオイルをためている部品です。
縁石や道路上の障害物、段差などへ車体下部をぶつけると、オイルパンが変形したり、亀裂が入ったりする場合があります。
車体下部を強く擦った後に油染みができた場合は、オイルパンの損傷も疑われます。
ドレンボルトやワッシャーの不具合
ドレンボルトは、エンジンオイルを交換するときに、古いオイルを排出するために外す部品です。
締め付けが不十分だった場合や、ワッシャーが劣化・変形している場合は、ドレンボルト周辺からオイルが漏れることがあります。
オイル交換の直後に漏れが始まった場合は、作業を依頼した店舗や整備工場へ連絡してください。
オイルフィルター周辺の異常
オイルフィルターの取り付け不良や、ゴム製パッキンの劣化などによって、フィルター周辺からオイルが漏れることがあります。
こちらもオイル交換後に発生する場合があるため、交換作業後は、車の下に新しい油染みができていないか確認しましょう。
オイルシールや配管の劣化
エンジン内部や回転部分には、オイルの漏れを防ぐオイルシールが使用されています。
また、車種によってはエンジンオイルが通る配管やホースがあります。これらが熱や振動で劣化すると、外部へオイルが漏れる原因になります。
エンジンオイルは、オイルパンやドレンボルト、オイルフィルター、各種パッキンなど、複数の場所から漏れる可能性があります。車体のどの位置に染みがあるか、どの部品から漏れている可能性があるかを詳しく確認したい場合は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:自動車のオイル漏れはどこから?漏れやすい箇所と確認方法
エンジンオイル漏れを放置するリスク
エンジンオイル漏れは、車両だけの問題ではありません。
漏れた油が道路や駐車場へ広がると、人や車両の安全に影響し、土壌や排水設備へ流出する可能性があります。
エンジンの摩耗や焼き付きにつながる
エンジンオイルには、エンジン内部の金属部品を潤滑し、摩擦や熱を抑える役割があります。
漏れによってオイル量や油圧が不足すると、金属部品同士の摩擦が大きくなり、エンジンの損傷や焼き付きにつながるおそれがあります。
漏れを止めずにオイルだけを継ぎ足す対応では、根本的な解決にはなりません。
発煙や火災につながる
漏れたオイルがエンジンや排気系の高温部分へ付着すると、煙や焦げた臭いが発生する場合があります。
付着する場所や量によっては火災につながる可能性もあるため、煙や異臭に気づいた場合は、直ちにエンジンを停止してください。
人や車のスリップにつながる
道路や駐車場へ広がったオイルは、路面を滑りやすくします。
歩行者や二輪車が転倒したり、後続車がスリップしたりする可能性があるため、油が漏れた場所には人や車を近づけないようにしましょう。
タイヤで油を踏むと、別の場所まで油を運び、汚染範囲を広げることにもなります。
排水設備や土壌へ流出する
地面に漏れた油を放置すると、雨水によって側溝や排水口へ流れ込む可能性があります。舗装されていない場所では、土壌へ浸透することもあります。
表面の染みが小さく見えても、コンクリートのひびや地面の下へ油が広がっている場合があります。
漏れた箇所を修理した後も、地面や土壌側に油が残っていれば、回収や処理が必要です。
油が付着した資材も処理が必要になる
エンジンオイルを吸い取るために使用したウエス、吸着材、砂などには、回収した油が含まれています。
また、油が浸透した土砂や、汚染された資材を取り除いた場合は、それらも適切に処理しなければなりません。
エンジンオイル漏れは、「車両から漏れなくなった時点」で対応が終わるとは限りません。漏れた油と、回収によって発生した汚染物がどこへ行くのかまで考えることが、周辺環境への影響を防ぐうえで重要です。
エンジンオイルが地面へ漏れたときの初動対応
エンジンオイルが駐車場や道路へ漏れている場合は、車両の点検と並行して、油が周囲へ広がらないように対応します。
大量に漏れている場合や、排水口・土壌へ流れた場合は自力だけで処理せず、管理者や消防、油漏れ対応業者などへ相談してください。
1.車両を停止する
走行中にオイル漏れに気づいた場合は、周囲の安全を確認し、安全に停止できる場所へ車を止めます。
すでに駐車している場合は、自己判断で車を移動させないでください。車を動かすと油をタイヤで踏み広げたり、新たな場所へ漏らしたりする可能性があります。
ただし、交通事故につながる場所に停止している場合などは警察や道路管理者、ロードサービスの指示に従ってください。
2.漏洩場所への立ち入りを制限する
油を人や車が踏まないよう、漏れている場所の周囲へ立ち入らないようにします。事業所や施設内の場合はコーンやバーなどを使用し、従業員や車両が漏洩箇所へ入らないようにしてください。
油を踏んだ靴やタイヤで移動すると、床や道路の広い範囲へ油が付着します。
3.火気を近づけない
漏洩場所ではたばこや火花が発生する作業などを避けてください。エンジンオイルは常温ですぐに引火するものではありませんが、高温部分へ付着した場合や、ほかの燃料が混ざっている場合には危険が高まります。
液体の種類が分からない場合も、周囲では火気を使用しないでください。
4.排水口や土への流入を防ぐ
漏れた油が側溝、排水口、未舗装の地面などへ広がりそうな場合は、吸着材などを使用して、可能な範囲で流れを止めます。
水をかけて洗い流してはいけません。水で流すと、表面から油が見えなくなっても、排水設備や河川などへ汚染を移動させる可能性があります。
油がすでに排水口や側溝へ流れた場合は、無理に追いかけて回収しようとせず、消防や施設管理者、自治体、専門業者などへ連絡しましょう。
5.吸着材などで油を回収する
少量で、安全に対応できる場合は、市販の油吸着材などを使用して油を吸い取ります。
油をこすって広げるのではなく、吸着材へ十分に吸収させて回収してください。
大量の油がたまっている場合や、染み込んでいる範囲が分からない場合は、自力での処理を中止し、専門業者へ相談します。
6.回収した油や汚染物を分けて保管する
油を吸収した吸着材、ウエス、砂などは、漏れない容器や袋へまとめ、ほかの廃棄物と混ざらないようにします。
回収物の処分方法は、油の量や発生した場所、家庭から出たものか事業活動によって生じたものかによって異なります。
特に、工場や事業所などの事業活動に伴って発生した廃油や汚染物は、関係する法令や地域のルールに基づく処理が必要です。処理方法が分からない場合は、産業廃棄物処理業者などへ確認してください。
7.発生状況を記録する
次の情報を写真やメモで記録します。
- 漏れに気づいた日時
- 発生場所
- 車両や重機の種類
- 油が漏れていると思われる箇所
- 地面に広がっている範囲
- 漏れた量のおおよその状況
- 排水口や土への流入の有無
- 使用した吸着材や回収方法
- 現在も漏れ続けているか
- 写真や動画
記録は、整備工場や施設管理者、油漏れ対応業者へ相談するときの状況説明に役立ちます。
エンジンオイルがコンクリートやアスファルト、土へ広がった場合は、車両の修理とは別に、漏れた油の回収や汚染物の処理が必要です。地面の材質ごとの対処や、土壌・排水設備への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:車から地面へ漏れたオイルの処理方法と土壌汚染のリスク
漏れたエンジンオイルは適切に処理することが重要
エンジンオイル漏れが起きたときは、漏れている部品を修理するだけでなく、すでに外へ流出した油への対応も必要です。
表面に見えている油を拭き取っても、コンクリートの隙間や舗装の下、土壌などへ浸透していることがあります。油が付着した吸着材や土砂も、そのまま一般のごみとして処分できるとは限りません。
漏れた後に必要となる対応は、主に次のとおりです。
- 漏れた油の回収
- 周辺への拡散防止
- 排水口や土壌への流出状況の確認
- 油が付着した吸着材や資材の回収
- 汚染された土砂や舗装材の処理
- 回収した廃油の適正処理
- 再発を防ぐための漏洩原因の確認
「漏れた油を見えない場所へ移す」のではなく、回収し、その後の行き先まで確認することが大切です。
廃油は、状態や混入物などによって処理方法が異なります。回収後に適切な処理や再資源化へつなげることは、環境への負荷を抑え、資源を循環させることにもつながります。
エンジンオイル漏れはどこへ連絡する?
エンジンオイル漏れでは、車両を修理する依頼先と、漏れた油を処理する依頼先が異なる場合があります。
状況に応じて、適切な連絡先を選びましょう。
車両の点検・修理
車両の漏洩箇所の特定や部品交換は、次のような依頼先へ相談します。
- 自動車整備工場
- 自動車ディーラー
- 車両管理会社
- ロードサービス
警告灯や煙、異音がある場合は、自走せず、ロードサービスへ連絡してください。
修理の内容は、漏れている部位や車種、部品の状態によって異なります。正確な作業内容は、整備工場で漏洩箇所を特定したうえで確認しましょう。
駐車場や道路で発生した場合
自宅以外の駐車場や道路で油が漏れた場合は、車両の修理先に加えて、その場所の管理者へ連絡します。
- 店舗や施設の駐車場管理者
- 月極駐車場の管理会社
- 道路管理者
- 警察
- 消防
- 自治体の担当窓口
油が道路上へ広がっている場合は、後続車や歩行者の安全に関わります。自分だけで清掃しようとせず、道路管理者などの指示を受けてください。
漏れた油や汚染物を処理する場合
漏れた油が広範囲へ広がった場合や、土壌・排水設備へ流れた場合は、次のような事業者への相談が必要です。
- 廃油回収業者
- 産業廃棄物収集運搬・処分業者
- 油漏えい事故の対応業者
- 土壌や地下水の調査・処理に対応する業者
車両自体の修理は、自動車整備工場やディーラーへ依頼します。一方で、漏れた油の回収、汚染された吸着材や土砂の処理、周辺環境への影響確認は、油や廃棄物の処理に対応できる業者へ相談しましょう。
漏れた油の回収・処理で困った場合は専門業者へ相談する
次のような場合は、自力だけでの処理を続けず、専門業者などへ相談してください。
- 漏れた量が分からない
- 広い範囲に油が広がっている
- 漏洩が止まっていない
- 排水口や側溝へ流れた
- 土壌へ浸透した可能性がある
- コンクリートの隙間へ油が入った
- 回収方法が分からない
- 油を吸着した資材の処分方法が分からない
- 事業所や工場で発生した
- 複数の車両や重機が関係している
- 敷地外や近隣への影響が考えられる
- 回収後も油染みや臭いが残っている
灯油漏れナビを運営する環境開発工業では、自動車のエンジンオイルをはじめとする使用済み潤滑油の回収・再資源化、産業廃棄物の収集・処分、油漏れ事故への対応を行っています。廃棄物を単に捨てるのではなく、可能なものは循環へつなげることを重視し、油の流出による土壌や河川への影響を抑えるための対応に取り組んでいます。
車両自体の修理は、自動車整備工場やディーラーへご相談ください。漏れた油が駐車場、工場、土壌、排水設備などへ広がった場合や、回収物の処理方法が分からない場合はぜひお問い合わせください。
\弊社へのご相談はこちらから/
まとめ|エンジンオイル漏れは修理後の処理まで適切に行おう
エンジンオイル漏れに気づいた場合は、警告灯、煙、焦げた臭い、滴下の有無を確認し、危険が疑われるときはエンジンを停止してください。
油圧警告灯が点灯している場合や、煙・異音・継続的な滴下がある場合は、自走せず、ロードサービスや整備工場へ連絡します。
また、エンジンオイル漏れは、車両を修理すれば終わりとは限りません。すでに油が道路や駐車場へ広がっている場合は、次の対応が必要です。
- 人や車が漏洩箇所へ入らないようにする
- 排水口や土壌への流出を防ぐ
- 漏れた油を回収する
- 油が付着した吸着材や土砂を分けて保管する
- 回収した油や汚染物を適切に処理する
- 原因を確認し、再発防止につなげる
漏れたものがどこへ広がり、その後どのように処理されるのかまで考えることが、事故による影響を小さくし、周辺の環境を守ることにつながります。漏洩範囲や処理方法が分からない場合は、油や産業廃棄物の処理に対応する専門業者へ早めに相談しましょう。

