そろそろファンヒーターを出そうかと思い、季節の変わり目に押入れの奥から出てきた古い灯油。そのまま捨ててしまいたい衝動に駆られますが、適切な捨て方があることをご存知でしょうか。
灯油は危険物に指定されており、安易な処分をしてしまうと思わぬトラブルや環境汚染につながる可能性があります。古い灯油の正しい処分方法と、やってはいけないNG処分、さらには灯油を使い続けるとどうなるのか、詳しく解説します。
目次
古い灯油の正しい処分方法
古い灯油の処分は、以下の方法が一般的です。以下に処分するのに適した業者をピックアップして紹介します。
ガソリンスタンドや灯油販売店

多くのガソリンスタンドや灯油販売店では、古い灯油の引き取りを行っています。事前に電話で確認してから持ち込みましょう。多くの店舗で無料または低価格で引き取り可能であり、かつ専門知識を持つスタッフが対応してくれるので安心できるのもポイントです。
少量の灯油、かつ車での持ち込みが可能であればガソリンスタンドや灯油販売店が良いでしょう。
ただし、大量に古い灯油がある場合には引き取りを断られるケースもあるため、やはり事前に電話で確認を行うことが必要といえます。
不用品回収業者

灯油の回収に対応している不用品回収業者に依頼する方法もあります。ポリタンクや古いストーブなども一緒に処分してもらえる場合があり便利です。自宅まで引き取りに来てくれるので便利であり、ついでに灯油以外の不用品もまとめて処分できます。
大量の灯油がある、かつ自宅からの運び出しが困難である場合は不用品回収業者が適しています。
しかし、ポストにたまたま不用品回収業者のチラシが入っていたから何も考えずそこに電話した……などと、信頼できるか分からない業者への連絡には検討が必要です。必ずネットで調べ、詳細情報が出てくる業者に連絡しましょう。
古い灯油のやってはいけない処分方法

次に、やってはいけない古い灯油の処分方法を解説します。例えば以下のような問題が起こる可能性が高いため、充分に目を通して気を付けるようにしましょう。
下水道に流す
まず、下水道には絶対に流してはいけません。水質汚染・悪臭・処理施設への悪影響・爆発などといった多くの危険性があります。 灯油は水に溶けにくく、水面に油膜を形成します。これにより、水中の酸素供給が妨げられ、魚や水生生物の窒息死を引き起こす可能性があります。
悪臭が近隣住民に迷惑をかけるのはもちろんですが、下水処理場では微生物の働きを利用して汚水を浄化しており、灯油は微生物の活動を阻害し、処理能力を低下させる原因となってしまいます。
さらには灯油は揮発性が高く、下水道内で引火すると爆発事故を引き起こす可能性があります。
地面に捨てる/埋める

土壌汚染を引き起こします。環境への影響を考えると、絶対に避けておくべき行為です。灯油は土壌に浸透し、長期間にわたって汚染を続けていきます。植物の生育を阻害し、かつ地下水にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
また環境に悪影響を与えるだけではなく、われわれ人体にも有害です。汚染された土壌や地下水から、人体に有害な物質が摂取される可能性があります。
可燃ごみに出す
住んでいる地域の可燃ごみに出すのもNGです。灯油が付着したごみは、収集・運搬中に発火する危険性があります。ごみ収集車や処理施設での火災につながり、人命や財産に大きな被害をもたらす可能性も。
また灯油の臭いは、ごみ収集作業員の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。回収する業者のためを考えて、ごみに出すことも控えてください。
灯油が入っていたポリタンクの処分方法

灯油が入っていたポリタンクも、もちろんそのまま捨てることはできません。以下で紹介する3つの方法をもとにしながら、処分方法を検討してみてください。
灯油を使い切る/引き取ってもらう
まずは灯油を使い切るか適切な方法で引き取ってもらうことが、ポリタンクを再利用するための第一歩です。もし灯油が残っている場合は、暖房器具などで使い切るか、ガソリンスタンドや不用品回収業者に引き取ってもらいましょう。
キャップを外して乾燥させる
灯油を完全に除去したら、ポリタンクのキャップを外し、風通しの良い場所で数日間天日干しにします。日光の熱と風によって、タンク内に残った灯油を蒸発させ、臭いを軽減させることが目的です。完全に乾燥させることで、安全に処分できる状態になります。ただし雨水の混入には注意してください。
資源ごみとして出す
乾燥後、お住まいの自治体のルールに従って、ポリタンクを資源ごみとして出しましょう。地域によってはプラスチックごみとして回収される場合や、指定の回収場所への持ち込みが必要な場合もあります。事前に自治体のウェブサイトやごみ分別ガイドを確認し、正しい方法で処分するようにしましょう。
古い灯油を使用するとどうなる?

古い灯油をそのまま使い続けるのは危険です。古い灯油は品質が劣化し、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- ストーブや暖房器具の故障:不完全燃焼を起こし、ススやタールが発生しやすくなります。
- 悪臭:灯油が酸化し、不快な臭いを放つようになります。
- 健康被害:燃焼時に有害物質が発生し、一酸化炭素中毒・頭痛やめまいなどの症状を引き起こす可能性があります。
灯油に含まれる人体に有害な物質は、頭痛やめまい、吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。そのため古い灯油を使い続けることによって、より深刻な健康被害につながる恐れもあります。特に、小さなお子さんや高齢者、呼吸器系の疾患を持つ方は注意が必要です。
古い灯油の見分け方

最後に、古い灯油はどうやって見分けるのか、またそこに基準はあるのかを紹介します。主にチェックしておきたいポイントは以下の3つです。
- 変色:赤褐色に変色している場合は、酸化が進んでいる可能性があります。
- 異臭:酸っぱい臭いやカビ臭い臭いがする場合は、劣化している可能性があります。
- 沈殿物: 水分や不純物が混入し、底に沈殿物が溜まっている場合があります。
これらの兆候が見られる場合は、使用を控え、適切に処分しましょう。また、もっと個人の力で正確に見たい方は、灯油の色や透明度を正確に確認するためにポリタンクから少量を透明なガラス容器などに移し替えて観察すると良いでしょう。
健康被害、また環境汚染を防ぐため、少しでも不安があれば灯油の専門家となる業者に相談してみてください。
まとめ
古い灯油の処分は、環境や安全を守るために非常に重要です。面倒だからと安易に処分せず、正しい方法で処分するようにしましょう。また、灯油は適切に保管し、古い灯油の使用は避け、機器の故障や健康被害を防ぐことが未来のために重要です。
灯油の正しい取り扱いは、快適な冬の暮らしと地球環境の保全につながります。定期的な点検と適切な処分を心掛け、安心・安全な冬を過ごしてみてはいかがでしょうか。